2014年6月3日火曜日

【2014/05/24】コミュニケーショントレーニング


 長年こうした公演を目指すワークショップに携わっていますが、長期、短期に関係なくあらゆるワークショップで何らかの「もめ事」が起こります。起こらなかったことは、おおかた無いと思います。深刻な場合は、メンバーが途中で辞めて出演できなくなるということなのですが、公演まで3ヶ月をきっているばあいに辞めるに至るのは非常に希で、何らかんだあってもたいがい公演をやり遂げることができます。そして、たいていの場合公演をやり遂げられたことで、多くのもめ事の原因は解消されます。
 演劇はグループで行う創作で、スタッフワークも練習も人と関わりながら行います。メンバーは公募で集めていますから、性格が合わない人も、価値観が違う人もいろいろです。そうした人たちと、「いついつまでに作品を作って発表しなさい」という約束のもとで作業をするのですから、発表が近づけば近づくほど、焦りや、不安から心の余裕を無くし、対人関係のトラブルは頻発するのも当然です。
 さて、こうした問題にどう取り組むかはこうしたワークショップを始めた頃からの課題でした。様々なトラブル場面に出会ってきましたが、一番いいのは、「可能な限りグループ内で解決する」というものです。(もちろん、財布が取られた、とか、病気とか、創作に関係ないトラブルはすぐに対処します)こうした演劇ワークショップの醍醐味は実はこうした「難しい人たちと、なんとか折り合いをつけながらやっていくこと」にあると感じています。相手にどう伝えるとわかってもらえるか、どうするともう少し稽古場の雰囲気が和らぐのか・・・。そうしたことを、メンバーが考え実践することが大事なのです。ところが、グループにはたいてい「空気が読めない人」も「わがままな人」も存在します。「色々な事情を抱えていて十分に働けない人や自主練習に来られない人」もいらっしゃいます。そうした人がグループにいなかったことも無いほどです。でも、それは社会の縮図とも言えます。グループで何かを行う時に、均等に仕事や責任、ストレスが分け合えるということは理想ですが、たぶん無いのではないでしょうか。きっと誰かが、極端な場合はごく少数の人が多くの負担を抱えているのです。公演が迫る中で、その不満やストレス、イライラが吹き出して、たいていはトラブルが起きます。「私ばかりに負担がきている」と感じている人や、「メンバーからのプレッシャーに耐えられない」「私だけ疎外されている」といった不満が私たちスタッフに寄せられる時期でもあります。
 この時期こそが、実はとても大切なところです。グループや参加した個人が成長できるかどうかの分かれ目かもしれません。まさに「コミュニケーション力」が試されるし、その力が向上するときなのです。自分を変えるチャンスかもしれません。もちろん行き過ぎたストレスや負担が誰かにいっていて、どうしようも無いと思える場合にはスタッフが入って解決を図りますが、過去に経験した大半のものは、乗り切れる範囲だったと思います。

「背泳ぎの亀」もちょうどそんな時期にさしかかろうとしています。
 荒れ狂うプレッシャーの川はなかなか手強いですが、背泳ぎでわたりきってもらいたいと願っています。

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