2014年7月21日月曜日

【2014/7/19】大詰めの少し手前



まだ、大詰め、と呼ぶには少し早いその稽古場では、本番を前にした俳優たちの緊張感と言うよりは、自分を見つめ続けている、自分の中で完結してしまっている言葉や身体がそこにあるように思います。


ほとんど、大体、おおかた、ざっくりと、台詞も掴んできているし、立ち振る舞いや声の出し方や段取りも身に入ってきているからこそ、同時に自分のやりやすい、自分の癖や習慣が抜けなくて、それを個性だからと言って残しておくことも出来るけれど俳優修業である以上、自分がこうである、という事よりもまず、俳優とはどんなふうにいるべきか、という事が最初に無ければならないでしょうし、この 「最後のコント」 という公演については、なにか特別な技やアクロバットが目白押し、と言うよりは、まるで私たちのような人間を演じなければならない、のであれば、その私たちのような人間とはなにか、についても考えなければなりません。


そして、その私たちとは、出演者だけではなく、観客席も含めた 「私たち」 である以上、自分についてだけを見つめるのではなく、自分が見られているという意識や、自分は人の前に出ていく、と言う意識が必要なのかもしれないと言う感想が生まれたのは、演出のあごうさとしさんの口からは、最近たびたび 「台詞が芯を捉えていない」 という言葉が聞かれるからで、その芯を捉える台詞とは何かを考えると、少なくとも、自分だけを見つめて出された声ではなくて、誰かに向けられた切実な声を期待しているのかもしれないと考えたからでした。


もうすぐ1年の締めくくりである 「最後のコント」 がアトリエ劇研にて上演されます。客席は50~60席まで作れるため、そこが満員になればそれだけの視線がたった9人に注がれます。ぜひ、その視線の期待を超えるため、ここから数週間、最後の大詰めの時間を過ごして頂けたらと思います。

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