2014年7月28日月曜日

【2014/7/26】身体と声のバランス


例えば最近ではマルチタスクという元々はコンピューターにしか使うことのなかった言葉を比喩的に人の行動というか行為の仕方についても使うことが多くなっていて、つまり効率よく色んなことをこなせるとか、結局どっちも中途半端になってしまうものだからむしろ仕事には向かないとか、器用な人はいくつも平行してあれやこれやとこなせるのでしょうが、とにかく、複数の事を同時にまかなう、というような状態のことを指すのだろうと何となく理解できます。


稽古場で当たり前のように発せられる、もっさい、という言葉を出演者たちが理解や了解ができるのは、そのマルチタスク、という言葉がパソコンが当たり前になったからこそ、ここ数年で浸透した言葉として一般化されたように、作、演出のあごうさとしさんと出演者たちが一年を通じて共に過ごした時間があったことの象徴的するさり気ない一言だと思います。


今日の稽古では3行程度の短いセリフに苦闘していたとある出演者は、そのセリフの間にどんな身振りをするか、具体的にはどんな風に笑える間抜けな動きが出来るか、ということを実践しながら、なおかつ、しっかりとセリフも届ける、つまり声を出しながら身体も動かす、というマルチタスク、といっても日常はそんな事を繰り返しているのですが、意識して身体と声を同時に動かそうとすると、どうしてもギクシャクするもので、その3行の稽古のために多くの時間が費やされました。


ある意味で重箱の隅を突くような細かい指示が費やされるのは全体の骨組みがしっかりとしている証拠かと思います。小さな事をコツコツと、ばかりやっていると大抵はドカンと大きな事をしないと不安になったりするものですが、間もなく本番だからこそ、小さく小さくまとまった身体と声を届けられたらと思います。

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