2014年7月13日日曜日

【2014/7/12】足元

8月の公演間近の稽古ですが、本日は1時間を超える本編の、最初の20分くらいのシーンをひたすらに何度も繰り返していました。


稽古が進むにつれて、出来ていると思い込んでいたところが出来なくなっていたり、1回はちゃんと覚えたのに、数日あるいは数週間、そのセリフを言わなかったせいでそのことを忘れてしまうという事は多々あることですし、そりゃあ1時間を越えるやり取りを全く完璧にいつまでも覚えていられるという人は、実は有名な俳優さんなんかのいくつかのエピソードを聞く限り、一度やった振付や段取りをずっと覚えていられる京都の俳優さんなど、いないことはないらしいのですが、普通に考えたら、そんなケースは特殊なことで、大抵は忘れてしまうものです。


上の写真は出演者の女性の足ですがもはや性別も何もあったものではない、真っ白な足、となっています。
靴は市販の白いただの靴、それに布を縫いつけるなどのあれこれ工夫の工作で完成させた小道具なのですが、と、文章にして説明してみたらほんの数行で、写真で見れば一瞬で目に入るそれを作るのに、1時間もかかってる、というのです。大体、前回の通し稽古が1時間半くらいで、これからもっとコンパクトになっていくとしても、この本編と同じくらいの長さが、小道具の靴1足にかけられているという事です。ドラム缶を探す、というのも随分と珍しい経験ですが、白いクツを1時間も見る、というのも、なかなかレアな経験かと思います。


モノによっては3時間を超える演劇もあればそのくらいの長さの映画もあるし、1000ページを超える小説や論文など、そういったものに比べてしまえば1時間くらいの演劇公演というのは決して長いものではないけれど、例えば出演者の足元にはそれぞれに1時間の手間と労力が懸けられていて、公演時間は1時間だとしても、それぞれの足元に手間をかけられた時間のように、舞台上の時間はそれまでに費やされた時間が何層も重なって出来上がる時間です。


その費やされた時間によって、舞台上がどんな奥行きのある時間になるかは、やはり 「白い靴に工作する」 というレアな時間も含めた、そして稽古も含めた、公演までの日々の過ごし方かと思いますが、とりあえず、この靴も1足しか出来ていないようですし、まずは足元から、少しずつ作り上げていけたらと思います。

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